概説

昭明余韻の学習方針

2008年の暮れから2010年の年初にかけて、「文言基礎」というサイトを設置して、文言文の基礎を学んできました。『千字文』という児童向けの識字書を、大の大人が、しかも外国人の大人が学ぶことは、それほど簡単なことではありません。私は、これを終えられ…

昭明余韻で用いる本

このサイト「昭明余韻」では、『文選』を味わってゆくつもりですが、そのために、いくつかの書物が要ります。 もちろんまず読む本が必要です。読むための底本です。李善注本『文選』のうち、下記のどちらか。 『文選』蕭統編、李善注(中華書局、1977) 『文…

洪邁の五臣注評価

南宋の洪邁(1123-1202)が書いた『容齋随筆』は、なかなか楽しい読み物です。その巻一に「五臣注文選」という一文が収められており、五臣(呂延済・劉良・張銑・呂向・李周翰)の悪口を言っています。 東坡詆『五臣注文選』,以為荒陋。予觀選中謝玄暉「和…

文選考異

1986年に出た上海古籍出版社の点校本『文選』の「出版説明」には、次のようにあります。 清の嘉慶年間、胡克家は、南宋の尤袤が出版した『文選』李善注本に依拠して覆刻し、尤刻本の明らかな誤りを数百カ所ほども訂正し(胡刻『文選考異』が訂正した部分を含…

胡刻本文選

「胡刻本(ここくぼん)」と呼ばれる本があります。聞き慣れないかもしれませんが、『文選』の中でもっともよく知られた版本のことです。 他の古書同様、『文選』も写本として成書したのち、宋代に入ってから、木版印刷されて流布するようになりました。中国…

李善注・五臣注・六臣注、そして李善注

唐代の書物を記録した『新唐書』藝文志には、『五臣注文選』を次のように記録します。 『五臣注文選』三十巻。衢州常山尉の呂延濟・都水使者の劉承祖の男の良・處士の張銑・呂向・李周翰の注。開元六年(718)、工部侍郎の呂延祚 之を上す。 李善が明顕年間…

李善

『文選』に収録されている詩文は、難解なものばかりなので、注釈なしに読むことが出来ません。 そこで、『文選』ができて間もなく、注釈が登場しました。早いのは、隋の蕭該(蕭統の族孫)『文選音義』、そして隋から唐にかけて活躍した曹憲『文選音義』で、…

昭明太子、蕭統

昭明太子、蕭統の伝記も紹介しておきましょう。『辞通』(1999年版、上海辞書出版社、2000)を和訳して掲出します。 蕭統(501−531)、南朝梁の文学家。アザナは徳施、南蘭陵(今の江蘇省武進の西北)の人。武帝の長子。武帝の天監元年(502)、皇太子に立て…

『文選』とは

中国古典文化の常識的な知識を確認したい場合、『辞海』(1979年版、上海辞書出版社、1980。1999年版、上海辞書出版社、2000)はその大きな助けとなります。『辞海』の説明を借りて『文選』を紹介したいのですが、これについては、すでに戸川芳郎氏が訳出紹…