昭明太子、蕭統

 昭明太子、蕭統の伝記も紹介しておきましょう。『辞通』(1999年版、上海辞書出版社、2000)を和訳して掲出します。

 蕭統(501−531)、南朝梁の文学家。アザナは徳施、南蘭陵(今の江蘇省武進の西北)の人。武帝の長子。武帝の天監元年(502)、皇太子に立てられたが、帝位に即く前に亡くなり、「昭明」と謚(おくりな)され、世に「昭明太子」と称された。
 仏教を信じ、文学に長じていた。文学の士を招致して『文選』三十巻を編集し、後世の文学にかなりの影響を与えた。
 もともと個人文集があったが、すでに散佚しており、後世の人が『昭明太子集』として輯めている。

 以前学んだ『千字文』は、梁の武帝が周興嗣に命じて作らせたものです。一方の『文選』は、武帝の息子、蕭統が文人たちに命じて作らせたものです。前者は童蒙の書、後者は高級な文学と、性格は異なりますが、梁の皇室に出入りしていた文化人たちの精神を反映している点で、共通しています。

 『昭明太子集』には、新しい標点本があります。『昭明太子集校注』(兪紹初校注、中州古籍出版社、2001)。