昭明余韻の学習方針

 2008年の暮れから2010年の年初にかけて、「文言基礎」というサイトを設置して、文言文の基礎を学んできました。『千字文』という児童向けの識字書を、大の大人が、しかも外国人の大人が学ぶことは、それほど簡単なことではありません。私は、これを終えられた方々を心から尊敬いたします。

 「文言基礎」を学び終えられた方は、ご自身で中国古典の世界に臨む基礎的な力を備えられました。後はお好きなものを読まれればよいと思います。ただ、もしもう少しお付き合いいただけるならば、という仮定の下、『文選』を読んでみることにして、本サイト「昭明余韻」を設置した次第です。

 『文選』は子供には分からない、というのが私の持論です。多くの文体・多くの作者、それらを味わい分ける、というのが、最高の大人の贅沢だと思っています。

 大人でありながら、『千字文』という子供向けの識字書を根気強く学ばれた方には、その資格が十分にあると考え、また同時に、私自身も時間をかけて粘り強く学べるようにと考え、『文選』を選択しました。

 「文言基礎」の「頭から暗誦する」という姿勢とは方針をすこし変え、順に紹介する作品の中から、お好みのものがあれば口ずさんでみる、そして、さらに進んで、その作品の全体を通読してみる、というような仕方がよいと思います。長く楽しめる趣味としてお付き合い下さい。

 700首を超える『文選』の全作品に触れる予定ですが、ご紹介できるのは、それぞれの作品のごく一部分です。無理をせずに、味わえる分量を味わいましょう。私自身、『文選』の専門家ではありませんので、肩肘張って「教える」ようなつもりもありません。お互いに「楽しむ」ことができれば、幸いです。